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60Co 照射コレラワクチンの開発研究

田村有紀子、山本達男 国際感染医学講座 細菌学分野
tamuy@med.niigata-u.ac.jp, tatsuoy@med.niigata-u.ac.jp

 ヒトの粘膜には血中の免疫系とは異なった強力で特異な免疫機構が備わっている。この粘膜免疫は分泌型IgA の産生を主体とするものであり、さらに近年、殺菌活性が期待される粘膜 IgG の関与も明らかになってきた。従って、粘膜での特異免疫応答をワクチンの投与によって強力に誘導し、粘膜免疫を確立させて、病原菌の感染の初発段階つまり粘膜への定着段階を効率よくブロックすることが、例えば、コレラ、腸管出血性大腸菌(O157)感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染症、あるいは生物テロで問題となった炭疽に対する最も合理的な感染防御の手段といえる。

当教室では、安全で、開発が容易であり、かつ感染防御効果が従来の不活化ワクチンに比べて格段に高い60Co 照射ワクチンを開発している。60Co 照射ワクチンは、生ワクチンの性質と不活化ワクチンの性質を兼ね備えた新しいタイプのワクチン(新世代の不活化ワクチン)である。

60Co 照射コレラワクチンは、死菌ではあるが、鞭毛を回転させて腸管内を動き回り、抗原摂取細胞(M 細胞)に粘着する。従来の不活化コレラワクチンはアジュバント無しでは粘膜免疫を効率よく誘導できないが、60Co 照射コレラワクチンはアジュバントを添加しなくても単独で粘膜 IgA 及び粘膜 IgG の産生を強く誘導する。その作用として、粘膜 IgA による菌の定着阻止作用及び毒素の中和作用、さらに粘膜 IgGによる殺菌作用が期待される。

現在、動物実験にまで進んでおり、将来的には有効なアジュバントと組み合わせることで実用型60Co 照射コレラワクチンの開発を目指している。同じプロトコールで、O157ワクチン、炭疽ワクチンなどの開発が可能である。







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